伊「新型コロナはヘパリン(抗凝固薬)で」
先日の「死因は肺炎ではなくて微少血栓症である」というフェイクニュース扱いから一転した見解が、老舗新聞社コリエレ・デッラ・セーラにも載っていました。
( 前回の記事: https://fukononikki.hatenablog.com/entry/giampaolo-palma )
前回の引用記事はナポリの地方ニュースサイトで、ニュースソース的に弱い印象だったのですが、「コリエレに載ったらガチやな!違う病院の違う医師が書いてるし。ヘパリンヘパリン!」と、再び素人的盛り上がりムードに背中を押される私。(アビガンアビガン、って思ってたのと同じか!?)
ただ、いくつも記事を追っていく中でなんとなく分かってきたことがあります。
「何々が効いた!」と言うニュースがあっても、全ては重症度や症状によって違い、「治療薬」とは言い切れないのですね。今のところ、本当に効くとされてるのはヘパリンと「血しょう」と言われています。イタリアでは回復した患者が血液を寄付をするシステムが、テレビでも紹介されていました。
(日本でも血しょう治療が始まったようなので、次回はそれを書こうかな。)
今日の記事は、イタリア語の勉強を兼ねて、久しぶりに「(ほぼ)全訳」してみましたが、すんごいざっくり言うと「新型コロナは血栓によって死亡率が上がるんや!でも抗凝固薬は止血とのバランスを考えて投与しないとダメだよ」とくり返し言ってるだけのような気がする・・・。
(長い訳だったのに・・・。)
ヘパリンと新型コロナウィルスについて
ミラノ ポリクリニコ病院 血栓症の専門医 フローラ・ペイヴァンディによる記事
私は、止血・血栓症の専門家として、新型コロナウィルスの治療で得た経験を共有したい。
ウィルスの蔓延とCOVID患者の診断と治療のやり方を理解することは非常に複雑で難しかった。
新型コロナウィルスの疾患は数段階に分けられる。
まず単純なウィルス感染として軽い症状が現れる。
しかし、そこで患者の免疫系が応える事が出来ずに呼吸障害を伴う第2フェーズが始まると、重症化する事がある。
感染蔓延の初期の頃、私は集中治療室や呼吸器科の同僚たちからよく連絡を受けた。彼らは血栓塞栓症の異常な数に驚いたのだ。実際、入院した患者は、低酸素症(酸素欠乏)や呼吸困難に加えて、呼吸の道筋や気道に散りばめられた血栓によるその他の合併症を示していた。
それは肺の組織に感染があることに加えて、肺への酸素供給を阻害する血液循環に問題を抱えているということだ。
肺塞栓症や心臓または脳の虚血による死亡率が高いことを確認した。
この時点で、私たちはヘパリンによる抗凝固療法を最適化するため、患者の重症度に基づいて薬量を増量させることにした。
そしてこの療法のリスクと利益のバランスを理解しようとし、新型コロナウィルスの患者の止血システムに関する知識を深めるための研究所を作った。様々な協力体制により、この治療の最適化をして、血栓によって引き起こされる患者の死亡率を大幅に減らすことが出来た。
現時点でもヘパリンの高い容量の使用の出血リスクについて研究は続いている。
新型コロナウィルスの患者はそれぞれ異なり、重症度が違うために治療の仕方も違う病棟に入院する可能性があるので、止血の専門家と連携をとって適切な治療を組む必要がある。
ここで念をおしておきたいことは、たとえ陽性であったとしても無症状の患者については抗凝固剤による治療が必要ない一方で、症状がある患者でホームドクターにかかっている場合は、カルテ、炎症パラメータと血小板の数に沿って正確な判断が必要となることだ。
つまり読者に伝えたいメッセージは、新型コロナウィルス感染症は、肺微少循環の内皮細胞(血管の内面を覆う細胞)を攻撃するウィルス感染症だということ。
私たちの研究では、重症の患者では、肺塞栓症、静脈および動脈血栓症を引き起こす可能性がある血液凝固の明らかな姿があり、この臨床像にはヘパリンなどの抗凝固剤を調整された容量で使用するための注意が必要だということ。ヘパリンは専門の医師のみが処方する必要があり、患者の臨床状態と、臨床検査の結果の両方を見て、治療の効果と出血のリスクを正確に評価しなければいけない。
*私はプロの翻訳家ではありません。専門用語、言い回し等の間違いがある可能性は大いにあります!