封鎖中のミラノから イズミふうこの日記

イタリア語と日本語(時々英語)で得る情報は、どれだけ同じなのか?どれだけズレているのか?

伊「新型コロナはヘパリン(抗凝固薬)で」

先日の「死因は肺炎ではなくて微少血栓症である」というフェイクニュース扱いから一転した見解が、老舗新聞社コリエレ・デッラ・セーラにも載っていました。

( 前回の記事: https://fukononikki.hatenablog.com/entry/giampaolo-palma 

 

前回の引用記事はナポリの地方ニュースサイトで、ニュースソース的に弱い印象だったのですが、「コリエレに載ったらガチやな!違う病院の違う医師が書いてるし。ヘパリンヘパリン!」と、再び素人的盛り上がりムードに背中を押される私。(アビガンアビガン、って思ってたのと同じか!?)

 

ただ、いくつも記事を追っていく中でなんとなく分かってきたことがあります。

「何々が効いた!」と言うニュースがあっても、全ては重症度や症状によって違い、「治療薬」とは言い切れないのですね。今のところ、本当に効くとされてるのはヘパリンと「血しょう」と言われています。イタリアでは回復した患者が血液を寄付をするシステムが、テレビでも紹介されていました。

(日本でも血しょう治療が始まったようなので、次回はそれを書こうかな。)

 

 

今日の記事は、イタリア語の勉強を兼ねて、久しぶりに「(ほぼ)全訳」してみましたが、すんごいざっくり言うと「新型コロナは血栓によって死亡率が上がるんや!でも抗凝固薬は止血とのバランスを考えて投与しないとダメだよ」とくり返し言ってるだけのような気がする・・・。

(長い訳だったのに・・・。)

 

原文:https://www.corriere.it/salute/20_aprile_22/a-proposito-eparina-covid-9494e2f0-8497-11ea-8d8e-1dff96ef3536.shtml

 

ヘパリンと新型コロナウィルスについて

 

ミラノ ポリクリニコ病院 血栓症の専門医 フローラ・ペイヴァンディによる記事

 

私は、止血・血栓症の専門家として、新型コロナウィルスの治療で得た経験を共有したい。

ウィルスの蔓延とCOVID患者の診断と治療のやり方を理解することは非常に複雑で難しかった。

新型コロナウィルスの疾患は数段階に分けられる。

まず単純なウィルス感染として軽い症状が現れる。

しかし、そこで患者の免疫系が応える事が出来ずに呼吸障害を伴う第2フェーズが始まると、重症化する事がある。

 

感染蔓延の初期の頃、私は集中治療室や呼吸器科の同僚たちからよく連絡を受けた。彼らは血栓塞栓症の異常な数に驚いたのだ。実際、入院した患者は、低酸素症(酸素欠乏)や呼吸困難に加えて、呼吸の道筋や気道に散りばめられた血栓によるその他の合併症を示していた。

それは肺の組織に感染があることに加えて、肺への酸素供給を阻害する血液循環に問題を抱えているということだ。

肺塞栓症や心臓または脳の虚血による死亡率が高いことを確認した。

 

この時点で、私たちはヘパリンによる抗凝固療法を最適化するため、患者の重症度に基づいて薬量を増量させることにした。

そしてこの療法のリスクと利益のバランスを理解しようとし、新型コロナウィルスの患者の止血システムに関する知識を深めるための研究所を作った。様々な協力体制により、この治療の最適化をして、血栓によって引き起こされる患者の死亡率を大幅に減らすことが出来た。

現時点でもヘパリンの高い容量の使用の出血リスクについて研究は続いている。

新型コロナウィルスの患者はそれぞれ異なり、重症度が違うために治療の仕方も違う病棟に入院する可能性があるので、止血の専門家と連携をとって適切な治療を組む必要がある。

ここで念をおしておきたいことは、たとえ陽性であったとしても無症状の患者については抗凝固剤による治療が必要ない一方で、症状がある患者でホームドクターにかかっている場合は、カルテ、炎症パラメータと血小板の数に沿って正確な判断が必要となることだ。

 

つまり読者に伝えたいメッセージは、新型コロナウィルス感染症は、肺微少循環の内皮細胞(血管の内面を覆う細胞)を攻撃するウィルス感染症だということ。

私たちの研究では、重症の患者では、肺塞栓症、静脈および動脈血栓症を引き起こす可能性がある血液凝固の明らかな姿があり、この臨床像にはヘパリンなどの抗凝固剤を調整された容量で使用するための注意が必要だということ。ヘパリンは専門の医師のみが処方する必要があり、患者の臨床状態と、臨床検査の結果の両方を見て、治療の効果と出血のリスクを正確に評価しなければいけない。

 

*私はプロの翻訳家ではありません。専門用語、言い回し等の間違いがある可能性は大いにあります!

伊「新型コロナの死因は肺炎ではなく微少血栓症。自宅で治療可能に。入院数減少の理由」

専門外の素人が、特に今一番コアな部分である医学にまつわる話を書くのは間違っている。

本当にそう思う。

そして老舗新聞社・大学系など以外のネットニュースは信ぴょう性がピンキリなので、あまり取り上げるのは好きではない。

 

・・・が!

 

内容的に興味深すぎ、「続報期待!」すぎるニュースなのでスルーできません。

出来るだけニュートラルに一部始終を紹介します。

(今日はちょっと長くなっちゃうよ〜!)

 

 1週間前、日本の某美容外科医院長のツイッターで、今の新型コロナの治療法を覆すような医学的見解が流れてきました。元ネタは、とあるイタリア人の医師が書いてネットで拡散されているメッセージです。

しかし、その発信者の医師の名前をグーグル・イタリアでググると、最初に表示されるのはファクトチェックのサイト。フェイクニュース扱いだったので、私は脊髄反射気味に「それはフェイクニュースらしいですよ」とツイートしました。

 

それが数日間で状況が変わり、「内容はフェイクじゃなかった!?」と言う状態になってきたのです。イタリアでは抗炎症剤を使った新しい治療法がこの1ー2週間試されて結果を出しており、WHOや他国もそれを認め初めているというニュースが出てきたのです。

 

以下一部始終です。

 

 1週間前にサンドロ・ジャンニーニという名前の医師が、WhatsApp(日本のLINEのようなチャットアプリ)等のソーシャルメディアを通して以下のような内容を回しました。

今の新型コロナの治療法を覆す衝撃的な内容に思われました。

原文https://www.persemprenapoli.it/notizie/napoli/ultim/giampaolo-palma-ecco-perche-si-muore-di-covid-19/

 

オリジナルのメッセージ内容はざっくり訳すと:

「親愛なる友人たちへ」

「ついに新型コロナウィルスによる本当の死因が分かった。

私たちは亡くなった患者の肺病理組織からデータをとった。

患者は全身性静脈血栓塞栓症、特に血栓塞栓症になってICUに行くことになるのだ。

死亡を決定するのは肺炎ではなく微少血栓症だ。なので血液が行き渡らなくなった肺にいくら呼吸器をつけてもしょうがない。実際に8割が亡くなる。

しかし病態の初期・中期の段階で血栓症を防げれば呼吸器やICUはいらない。

 

中国からの方針で3月なかばまで「抗炎症剤は使用しない」と言われていた。

しかしイタリアでは今、初期段階で抗炎症剤と抗生物質を使用して入院数が減少している。

 

あまりにも微少な塞栓症の兆候だったので、私のような専門家でさえ分かりにくかった。

 

今まで、高熱が続いた患者は、炎症が続いて過剰な免疫反応で血栓症が起こるが、適切な治療を受けていなかったのだ。本来なら低価格の薬で早い段階で治すことができるはずだ」

 

という内容で、医学的な詳細も書かれており、「内容的には納得できる」という感想を持った医師もいました。

 

しかし、このチェーンメール(というかチェーンメッセージ?)が回ったあとすぐに、イタリアで有名ウィルス専門家としてメディアに毎日出ているブリオーニ氏がフェイクニュースと断定。

同時に、いろんな人がこのメッセージの発信者とされるジャンニーニ医師に連絡をとろうとしましたが、そんな医師は存在していなかったのです。

また、このメッセージの内容はネット上でも複数バージョンあり、どれがオリジナルか分からなかったので、ファクトチェックのサイトでもフェイクニュースとされました。

すぐに最初にツイッターで流れてきたリンク先の記事も消されました。

(ここで、私は某院長に「フェイクニュースですよ」とツイートしたのです。)

 

さて、1週間たって昨日、私の元に「発信者の医師が判明したようです。これでもフェイクですか?」というツイートが。

ググってみると、確かに今度は新しい登場人物であるジャンパオロ・パルマ氏という医師が、同じ内容を自身の名前で公表しています。

そしてこのニュースサイトは「彼と電話で連絡が取れた」とのことでインタビューをしているのです。

(記事の後半に短いインタビューが載っています

 https://www.persemprenapoli.it/notizie/napoli/ultim/giampaolo-palma-ecco-perche-si-muore-di-covid-19/ )

 

パルマ医師は

「中国での解剖数が少なかったのは問題だった。」

「このプロトコルはすでに色々な病院で実施されている。奇跡の薬という訳ではない。でも、ワクチンができるまで有効な治療法としてみることができるだろう」

と、答えています。

 

やはり偽名を使ったのでニュースとしてはフェイク扱いされたが、その内容は事実である可能性が高まってきました。ということは、ここで、いきなり治療法が大躍進なのでしょうか?

 

 

ドキドキしながら、知人の日本人医師の意見を聞いてみました。

「ふむ。重症の感染症や外傷の時、播種性血管内凝固という病態が認識される。」

は!?

「播種性血管内凝固の場合、そこで凝固因子がうんぬんかんぬん・・・」

パルマ氏のイタリア語メッセージよりも、もっと何も分からないよ!?

「コロナの場合は急激に起こるサイトカインストームで、まず肺の血流を維持する為に抗凝固薬を先行使用するのは賛成だね。とっぴな意見では全然ないよ。」

 

ええと、少なくとも一人の日本人医師にとって、このパルマ医師の言うことが「突飛な意見」ではないことが分かりました(笑)

 

すでにこの方向での治療がイタリア各地で始まっているとのことで、続報が待たれます。

 

それにしても、なぜ偽名でチェーンメッセージのような発表の仕方をしたのでしょうか?

あまりにも今までの方針と違って、全世界的に「今までの私たちはなんだったんだ!?」と思わせるほどの方向転換だと言うことなのか?

いかに揉み消されずに広めるか、を考えたのだろうか・・・、など、色々考えてしまいつつ。

 

他の記事からパルマ氏の写真を拝借いたしました。

https://www.mn24.it/coronavirus-nocera-inferiore-il-cardiologo-giampaolo-palma-il-clexane-puo-curare-la-malattia-nelle-prime-fasi/

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ジャンパオロ・パルマ医師

 

伊「アビガンが届いた」ベネト州で明日から試験

えええーーーー!?

まだ始まってなかったの!?

と、目が飛び出てしまった素人の私。

 

そうか・・・医薬品の使用と言うのは、こんな非常時でもこんなに時間のかかるものなのか!

何も知らない素人が個人的な意見を書く恐ろしさよ・・・。(自分を振り返って反省。)

 

1ヶ月前に「ベネト州知事がアビガンの試用許可をゲット!」と言うニュース記事を読み、「数日以内にプロトコルを開始する準備が出来ている」とあったのに、それ以来ニュースにならないので、てっきりもう試用して結果がイマイチなのかと思っていたのですよ。

(このニュースね! https://fukononikki.hatenablog.com/entry/avigan2 )

ツイッターにもついそんなことを書いてしまった数秒後にこの記事を見つけました。

 

「アビガンが届いた」だけなので、ベネト州の小さなニュースでした。

原文:https://www.qdpnews.it/veneto/35937-arrivato-avigan-in-veneto-il-governatore-zaia-hanno-tenuto-conto-dell-esperienza-veneta-lo-sperimenteremo

ベネト州は有名なベネチア(ベニス)を含む州で、ミラノ含むロンバルディア州と同じようにコロナウィルスが猛威をふるっています。

 

州知事のザイア氏は最初から検査をしまくり、国が助けてくれないので州でスイスから呼吸器を買い、マスクを買い、アビガンの使用許可を訴えて国から承認をもらい、今、抗体検査キットをテスト中、と、独自に攻めた戦いをしています。

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記事によるとザイア氏は

「プロトコルはベネト州、ヴェローナ、パドヴァに与えられた。私の記憶が正しければ、そこから、さらにミラノのサッコ(ミラノにある病院)に。我々には抗体検査キット、新しい陽性検査方法をはじめとして、他にも実験的に行う課題がたくさんある。この薬で世界が救われるとは言わない。ひょっとしたら必要ないかもしれない。でも、試すことが大事だ。」

と、慎重な様子。

 

今夜の報道では、マントヴァの病院から、血しょうを用いた治療が重症患者にもかなり効果がある、と言う特集がありました。

「今まで色々な物を試してきたが、これが一番だ。他の州でもどんどん使って欲しい」と医師。

この血しょうを用いた治療法も、ちょうど3週間前ほどに「血しょうは効くんだ。中国でも結果が出ているのに、イタリアでは正式に推進されていない・・・」と現場の医師が訴えていました。

(この日ですね〜: https://fukononikki.hatenablog.com/entry/infodemic )

 

「先進国で毎日何百人が亡くなるのだから、ICUに入ったら半数は亡くなる、と言われているのだから、世界中でなんでも必死で試しているはず。治療法の効く効かないはすぐに分かるのではないか?」と、無意識に思っていましたが、素人の浅はかさなのでしょうね。

 

こんな非常時でも、医療方法の手続きと言うのはそれなりに時間がかかるものなのだな、とつくづく思いました。

 

よく考えたらたった1ヶ月以内のことなのだから、実はすごくスピーディーとも言えるのかもしれません。でも、毎日数百人亡くなると、一日がすごく大きく長いように思われ、時間感覚がおかしくなっているのかも。

 

 

 

 

感染数・死者数は見る価値なし。重要なデータはICU患者数のみ。

イタリア、欧州各国が封鎖解除に向けて動き始めました。

 

毎日、午後6時に「今日の感染者、死者、検査数、回復数、致死率、州ごとの推移、うんぬんかんぬんいろいろ満載データ」が更新され、国民は固唾を呑んでそれを見守るのですが、本当に見る価値のあるデータは一つだけらしいです。

老舗新聞社コリエレ・デッラ・セーラの記事によると・・・

 

ただひとつ、大切なデータは「集中治療室ICUの患者数」 だけである。

 

ほほーーーーーう!

原文:https://www.corriere.it/salute/malattie_infettive/20_aprile_12/unico-davvero-importante-bollettino-coronavirus-protezione-civile-f6fd8fd4-7ccf-11ea-9e96-ac81f1df708a.shtml

 

ちなみに本日、4月16日は

新規感染者:3786人 現時点での陽性:1189人 回復者:2072人 死者:525人

 

赤:感染者数

橙:現時点での陽性

緑:回復者

黒:死者

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左: 今までの感染の推移  右:毎日の増加数の推移

左のカーブを見てもなだらかになってきているのがわかりますが、今日の死者は525人ですので、そこまで減少しているわけでもありません。ただ、回復者数右のグラフを見てもグッと伸びており、いい感じに見えます。

 

そこで先ほどの記事の話になるのですが、要約すると

 

感染者数はあてにならない

本当の感染者数はデータの10倍とも言われるほど氷山の一角である。

(これは日本でもよく言われていることなのに、いまだに「何県で何人!」と言うニュースをしますね。でも、人々に真剣に考えてもらうためには有効なのかもしれません。)

 

検査数はあてにならない

検査が行われた数が全てカウントされるので、同じ患者が複数回した検査も毎回カウントされている。そして、各州ごとに「誰を検査するか」というルールが違う。

(イタリアはどんどん検査数が伸びて、今日など過去最高6万1千件です)

 

回復者数はあてにならない

各州ごとに回復者としてカウントする方法が違う。ロンバルディアでは病床を確保するために、陰性になっていなくても退院させて自宅隔離にすることがあり、退院は「回復者数」にカウントされてしまう、等。

 

死者数はあてにならない

検査をされないままの死者が多くいるので、現実の死者数はデータよりも多い。例えば復活祭の日は死者数が低かった(なぜなら検査数が少なかった)ことからも分かる。

(日本では死者数は誤魔化せないから唯一頼りになる数字だという説があったような!?)

 

唯一、大事なデータはICUの患者数である:

感染者はこれからも無くなることはなく、フェーズ2(新型コロナとの共存・封鎖を段階的に解除)において、新しい患者がやってくる。重症者の入院期間は長く、時には何週間も入院が必要になることはもう分かっている。

だが、ICUのベッドがたくさん空いていれば、重症患者に対応することができる。

ICUのベッド数が50%空いた時、我々は封鎖を解くことを考えることができるだろう。

 

なーるーほーどー!

と、言う話でした。

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薄いピンク:自宅隔離患者 濃いピンク:入院患者 赤:ICU内の患者

少しずつ減って入るけれど、医療崩壊して無理やり増やしたくらいなので、現実的にはまだいっぱいいっぱいでしょう。

 

 

90代の致死率は80代より低い!伊 新型コロナウィルス 

今日のイタリアは死者が昨日よりも増加し、619人となってしまいました。

過去最高の数の検査をしている(5万6千件)ので、一日の感染者増加数も上がり、3951人。ピークを過ぎた、と言われていますが、悲惨な状況には変わらずです。ICU内の患者数は減りましたが、死亡しても減りますから・・・。

 

ところで、毎日の感染データのグラフ群のなかで、いつも少し気になっているデータがあるのです。

それは年代別の致死率。(原文 https://lab24.ilsole24ore.com/coronavirus/

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左から:年齢層、死者数、全死者の中でその年代が占める割合、致死率

右の黒い棒グラフ(致死率)とは「その年代の患者数の何%が死亡したか」です。

毎日このグラフを見るたびに思っていました。

なぜ90代以上の致死率は80代よりも低いんですか・・・?

80代は31%

90代は26.1%

 

毎日死者は増えるため、この致死率のデータも変わるのですが、90代の致死率が80代よりも低いのはずっと変わらないのです。(上記は最新の4月9日のデータ)

 

70代80代の死者数が多いのは普通です。

「弱者、高齢者が重症化する」。

そして単純に人数が多いので、分母が多くなり、死者数が多くなる。

でも、致死率は「90代以上の患者の中で何%が亡くなったか」なので、常に80代の致死率よりも低い事を不思議に思っていました。

 

イタリアの平均寿命は83才くらいなので、その前後の年齢を超えて生き残っている人たちは、平均的な80代よりも健康的という事なのでしょうか?

 

データの解釈は背後に無限の可能性があって、結局分かっているようで分からない・・・。

たとえば、多くの90代以上は家政婦がついている人が多いから感染発見が早い、とか?

80代は一人暮らしも多いから最新の情報を知らない人がいる、とかギリギリまで病院行かない傾向がある、とか?

100才を超えていると、もはやコロナの向こう側にいたりする、とか?

 

どんな理由なのかちょっと不思議になり、他の国のデータをググってみたけれど、パッとは見つかりませんでした。

どのような既往症を持っている人が高リスクなのか、という事とも関係があるのかもしれませんし、全く別の理由があるのかもしれません。

 

他の国でも同じよう傾向なのかどうか興味深いな、と思います。

 

日本はイメージ爆上げのチャンスを逃した

 

イタリアは、今日も610人が亡くなりましたが、感染率は下がっているということで、昨日から具体的にフェーズ2(第2段階:特定の分野から封鎖を解く)に向けての話題でメディアはあふれています。

 

そんな中、国内最大手の新聞コリエレ・デッラ・セーラのメインページで。

出た!

「イタリアを支援した国リスト」

アルバニア、オーストラリア、ブラジル、中国、キューバ、エジプト、アラブ首長国連邦、フランス、ドイツ、インド、クウェート、ノルウェー、パキスタン、ポーランド、カタール、チェコ、ルーマニア、ロシア、バチカン、米国、台湾、トルコ、ウクライナ (そして各国からの支援の詳細が載っています)

原文:https://www.corriere.it/esteri/20_aprile_09/coronavirus-mappa-aiuti-ecco-paesi-che-hanno-sostenuto-l-italia-12ffb40a-79ba-11ea-afb4-c5f49a569528.shtml

 

実は、1ヶ月以上前から私、ずーっと思っていました・・・

日本は瀕死の欧州(というか、文字通りもう瀕死を通り越してる)を横目に、ずっと余裕があった、なぜここで派手に支援しないのか?

「中国は自分が元凶のくせにイタリアに支援をしてイメージを上げてる」、と苦々しい報道をするのに、なぜ日本はしないんだ!?

 

それは人道的支援という言葉にイメージされるような単純な「思いやり」の問題ではありません。

 

経験したこともないの悲劇と絶望を毎日受け止め続けるイタリア。

手を差し伸べてくれる存在は、有り難いを通り越して、後光がさして見えたと思う。

たとえ元凶が中国だったとしても、毎日立ち向かう現実の中では、それは別次元の話題です。

人工呼吸器を持って現れた中国人医師団はどんなに心強く、イタリア国民はどんなに感謝したでしょうか?

最初に到着したキューバの医師団が空港を歩いてくる姿は何度も何度もテレビで放映され、ヒーローの姿として目に焼き付いています。

 

毎日死者が増え、国全体が絶望している時、支援をしてくれた国のことを忘れるわけがないのです。

これはあと数年にわたってクールジャパンだの技術大国だののアピールをするよりも、ずっとずっとコスパのいい投資だったと思うのです。

 

あれよあれよという間に欧州はどんどんヤバイ状態となり、どの大国も万単位で感染者が急増していました。(今もです)。

正直、その渦の中から、日本の感染者・死亡者のデータを見たとき、「少なくてすごい」というよりも、「先進国で唯一こんなに余裕があるのに、なぜ何も助けてくれないんだろう?」とさえ感じられた。「横目で見ている」ような。

 

日本は日本で大変だから余裕がない、という意見はもちろんあるでしょう。

 

でも、3月中ずっと日本のメディアは毎日毎日、いかにイタリアが悲惨な状況か、を報道していたはず。事実を伝えるというより、野次馬的な、視聴率やページビューを稼ごうという意図が見えるような報道の仕方も多かった。

それは日本に「わー!かわいそう〜!」と他国に対して言える余裕があったからですね。

 

日本も大変、とは言え、大変さの桁や次元が違うことは誰にでも分かっていました。

大変なはずのアメリカやフランス、ドイツでさえもこの「支援してくれた国リスト」に入っているのです。各国から派遣された医師団は、感染爆発しているイタリアでデータを集めたり、経験を積んで自国のために役立てることもできるし、もちろん自国がヤバくなったら帰ることだってできる。そして何と言ってもイタリア国民の中にあと数年〜数十年、いいイメージが残り続けるのです。得るものはプライスレス。

 

日本はせっかく国のイメージを爆上げするチャンスがあったのに、みすみす逃したと思います。

記事は実は「他国からの支援が寄付なのか貸付なのかの違いを見極めなければいけない」というテーマで書いてあるのですが、一般市民的にはイメージが全てです。

経済のことを心配するなら、外交のチャンスは最大限に活用しなければダメ。

 

1ヶ月前、ヴェネト州の知事がアビガンの使用許可を得るため、伊医薬品庁とかけあって許可を得ました。臨床試験の結果がどうであれ、あの時、たとえばアビガンを持って日本の医師団が現れていたら、最高にかっこよかったのに。

 

私は日本人で良かった!と、心の底から思えたのに、と思うのですよね

伊 新型コロナの抗体検査キットを4月末に発売予定

感染爆発エリアのベルガモについて書こうと思っていたはずなのに、毎日、あまりにも新しいニュースが飛び込んでくるので、ついついツイッターばかり読んでしまう・・・。

もう英国首相ボリス・ジョンソンのニュースが衝撃的すぎて。

 

まだ50代の一国の首相が亡くなると、収束ムードの欧州ラテン組も含めてますます世界がパニックになるのでは。私は彼の強烈なキャラが割と好きなので、自ら「免疫をつけろ政策」を体現したボリスを見たい!

 

さて。今日はイタリアのテレビニュースで大きく取り上げられていた新型コロナの抗体検査キットについてです。

国営放送raiの記事を全訳!(あ、久しぶりの全訳シリーズや!でも短い(笑))

原文:http://www.rainews.it/dl/rainews/articoli/test-immunita-covid-diasorin-san-matteo-pavia-5195d94e-f7df-443a-97bd-5a11f716f4c1.html?refresh_ce

 

DiaSorin社はパヴィアのポリクリニコ・サン・マッテオ病院にて、Sars-CoV-2に感染した患者の抗体を検出する新しい抗体検査キット発売のために必要な研究を全て終了した。

同社は4月末までに、CEマーク(EUの安全基準を満たしている証明するマーク)とFDA認証(米国食品医薬品局による証明)を得るために動いている。

この新しい血清検査は、他のコロナウィルスとは違って、Sars-CoV-2に独特であるウィルスのスパイクのS1とS2に対するIgG抗体を感知する。

 

この製品は、新型コロナウィルスに感染済みだが、従来の綿棒形の検査や診断をされていない人を確認するためのものである。検査はLIaison XL(同社の抗体を分析する機械)を使うことで完全に自動化され、1時間で最大170件を処理することができ、オペレーターの作業もほぼいらない。この検査キットは数日の間に臨床テストのために使われ、CEマークとFDAの許可を得て数週間後には販売される予定である。

 

テレビでは「これは大きな一歩ですよ!」と言われていました。

確かに、抗体を持っているので安全だ、と分かっている人が多くなれば自由に外出できる人が増え、封鎖されて停滞している状態から収束に大きく近づくのでしょう。

 

でも、本当のところ、どのくらいの人が抗体を持っているのでしょうか?

 

イタリアの感染者が初めて出た、コドーニョと言う小さな街で輸血希望者の検査をしたところ、60人中40人から陽性が見つかったと言います。

その40人は無症状で自分が感染したことを知りませんでした。コドーニョは感染源となった人口15000人の街なので、他の大きな都市よりも感染率はずっと高いことが予測されます。

なのでこれは間違った飛躍なのですが、もし、もしもの話。

ランダムに検査した人の3分の2が陽性だとしたら? 

これはまさに英国首相のボリスが当初言っていた「国民の6割が感染して抗体を持てばウィルスには勝てる」式を彷彿とさせます。